再発見!ビストロの真髄

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12時35分発の飛行機で関西空港からフランス、シャルルドゴール空港へ。
約12時間のフライトの後でもシャルルドゴールにつくとまだ明るい。時差は8時間。今日は1日32時間あります!
今回はパリ滞在時は一人旅。
靴底が擦り切れてなくなるぐらいまでパリを歩き尽くしてこようと思います。
到着するなり、ホテルに荷物を置いて、まずは夕食に出かけます。
バスティーユ駅とリヨン駅の間にある現地で人気のビストロ。
シェフのトマ氏は3ツ星レストランのアルページュ出身でソムリエのティエリー氏と一緒にオープンしたお店だそうです。
記念すべき今回パリ訪問1軒目は「L'Ebouchoir レボーショワール」
料理も楽しみですが、ワインも無名でも質の高いワイン農家のものをチョイスして置いているということで興味深々。
実は日本から電話したら「その日は予約で一杯だよ」と断られてしまったお店。
ならば直接言ってなんとか交渉しようとやってきました。自分に交渉できるだけの語学力があるのか、なんて不安はなぜか持たずに開き直っての決断。
よし、やるだけやってみよう!
地図とにらめっこしながら8時に店に到着!

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「Bon soir ボンソワー」
扉を開いてびっくり。ざっと80席ある店内にお客さんは1組のみ。
「予約で満席って言ったのに・・・。」
やっぱりはるか遠くアジアの端っこから一人で行きますって言っても予約は無理なんだ・・・。

などと少しへこみつつ、気を取り直して笑顔で
「予約ないんですが一人食事できますか?」
Tシャツに白いタブリエ(エプロン)といういでたちの女性が
店「ごめんね?。今日満席なのよ」
井「え?っ!これだけ開いてるのに?」
店「全部予約なの。」

そんなやり取りをしてるうちに、なにやら後ろで男性スタッフたちが相談し始めた。
そろそろ、あきらめるしかないかと思いかけていたその時、後ろの男性スタッフたちに動きが!
「ここでよければいいよ。本当は荷物置きなんだけど」
どこからか小さいテーブルと椅子を出してきてテーブルを用意してくれる。
よ?し、ここはひとつ食事しながら本当に予約でいっぱいなのか見物してやろう。と意地悪な考えも持ちつつ、彼の提案に承諾。なにはともあれ食事できることになった。

メニューを見ると料理は比較的定番のものが多く、ワインリストも豊富。ウィスキーにも力を入れている様子。
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前菜は「フォア・ド・ヴォライユ(鶏肝)のテリーヌ パセリとバルサミコのエッセンス」
肉厚のしっとりとしたテリーヌは絶品。ワインが進みます。(お酒に弱い私は飲みすぎると困るのですが・・・)
また添えてあるエッセンスをつけると香りが変わり楽しめます。
そして、天然酵母の酸味の利いたパンにつけて食べるともう感激のひとこと!

一人でご満悦の表情を見られたのか、さっきの入り口で対応してくれた女の人が「美味しい?」と聞いてくれます。「はい、とっても!」
ふと、周りを見渡すといつの間にやら客席はぎっしり超満員!予約で満席の言葉に嘘はなかったみたい。
お店の皆さん疑ってごめんなさい。
メインは「オングレ・ド・ブッフ(牛の横隔膜の部分)のステーキ エシャロットと赤ワインのソース」
この日本ではありえないボリュームを見るとフランスに来たんだなーと実感します。
日本では牛肉といえば柔らかくないと美味しくないように捉えられがちですが、フランス人にはこのような噛み応えがあり、味のしっかりとある肉が好まれるようです。
これも農耕民族と狩猟民族の違いでしょうか?
もちろん、パリジャン気分で全て平らげました。
もって来てくれたワインもばっちり!確かボルドー、メドックのシャトーピュイカステラだったと思います。
デザート、カフェまでしっかり頂き大満足。
ほろ酔いで店内を眺めているとすごいことに気付きました。
あれっ、何かおかしい。
お客さんは一杯いてる。確か80席くらいあったはず。なのにサーヴィスしてるの3人だけ!?
そう、落ち着いて見てみると無茶苦茶早く動いてる。無駄な動きなど何もなく、次お客さんがどう動くのか
知っているみたい。そりゃぁこの国はサッカー強いはず!
それでも愛想は振りまいて・・・。お一人様の東洋人の私にも横を通るたび声をかけてくれてたし・・・。
うん、これこれ!この楽しさ!この躍動感!この忙しさ!
これこそが「ビストロ」だなぁとしみじみ感じました。
パリ滞在初日に無理矢理予約無しでも来た甲斐があった。この食の文化の素晴らしさを、「ビストロ」の素晴らしさを日本の「ビストロ・ダ・アンジュ」のスタッフにも伝えなければ!
「アンジュ」をもっともっと素晴らしい店にする為に、頭の中を一杯にしてその日はほろ酔いのまま歩いてホテルまで帰りました。